大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ツ)111号 判決

一、双務契約における違約金の定めは常に当事者双方に同程度の制裁的意義を有しなければならないものではない。原判決の認定した事実によれば、被上告人(買主)は違約金を定めた当時既に殆んど代金を支払済みであつた、というのであるから、これに対する制裁的意義の少ないのは寧ろ当然ではあるが、代金は完済されていたというのではなく、(引渡、登記等の履行を受けるについても協力をしなければならないことが推察されるのであり、しかも右甲第二号証の第一条には本件契約に基く仮登記と同時に本件土地代金を授受すべきことが定められており、これとならんで前記第四条の約定が記載されているのであつて、甲第二号証が右仮登記の登記済証にあたるのだから、本件違約金の約定は右仮登記と同日であつたにしても、仮登記のなされる以前である筈であり、この点は右違約金の解釈に充分参酌されたものと思われる、)地方上告人(売主)としては被上告人のため農地法第五条による許可申請手続をする義務があり、更にその許可があれば、被上告人のため所有権移転登記手続並びに引渡をする義務が残つているから、上告人としては被上告人の残債務の完了、受領の協力を得て、約旨の完全な履行を果たすことに努め、被上告人としては、上告人が右約旨に反し、農地法第五条による許可申請手続を怠り、又はその許可を得て第三者に売却するなどの違反行為のないよう、違約金を定める意義はあるものというべきであつて、原判決もかような趣旨に理解できる。

二、原判決は上告人に対し、(一)本件農地を宅地に変更し、(二)その所有権を被上告人に移転すること、(三)それについて必要な農地法第五条による知事の許可を申請することを命じているのであつて、右第五条は右(一)(二)を併せて一個の許可申請をなし得ることを定めたものと解せられ、従つて同条によれば(一)と(二)について各別に許可申請をすることを必要としないのであるから、(一)についてまず許可があり、(二)について許可が不要(不能)になる場合は生じ得ない。論旨は右と異り(一)(二)について各別に許可申請をすることを前提とするものであるから採用することはできない。

(梶村 室伏 安岡)

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